概念が変わる

1887年創業のテキスタイルメーカー、新内外綿が立ち上げたmocT（モクティ）。
新内外綿と言えば、日本における杢グレーの基準となるGR7を生み出したパイオニア。
そんなmocTの強みは服を糸から作っていること。

一般的に生地を作る時は初めに生機と呼ばれる生地を織り上げ、その後に指定の色に染めていくのだが、モクティは違う。
何とも珍しい綿染めなのだ。
まず綿の状態で無染色のものと黒く染めたものを作る。
綿の段階で染めるということは、1つ1つの繊維に染料がいきわたりやすいから使用量も少ない。
これにより環境にやさしく、極上の柔らかさを持つ糸を作ることができる。
そして糸の段階で無線色の糸と黒い糸に分けられ、それを撚り合わせることでグレーの糸を作る。
色味の調整は黒い糸の配合で行う。

生地の状態で染色した場合は、染料が接着剤の様に生地に固着していくからどうしても固くなってしまう。
綿染めなら固着する心配がないから、各段に柔らかいのだ。

新品の状態も良いけれど、無染色の糸を使用しているから着込むほどにより柔らかく風合いが変化していくのも見どころの1つ。
エイジングも存分に楽しみたい。

実際に着てみるとその差は歴然。
ほどよく空気を含み、軽くて柔らかいのだ。
僕の場合は日常的に着ているから、当然何度も洗濯（時には乾燥機による乾燥も！）しているのだが全く硬さが出てこない。
むしろ新品より柔らかくなっていく。
肌触りはしっとりとしていて、優しい。
そして、1枚で着てもインナーにしても程よい肉感。

そんなGR7をベースに開発されたNEON SCRIPT（ネオンスクリプト）シリーズは糸から作る強みを存分に活かしている。
普通、ネップが入っている生地はランダムに異なる色の糸が散りばめられている。
ところがこのネオンスクリプトは横に流れるネップとボール状のネップがキャッチー。
一見すると無地だから合わせるものを選ばないのに、
これは糸の時点でポリエステルを3 5%程度混ぜて実現した風合いで、すべて計算して作られているそう。

数々のネップを見ているけれど、この風合いは見かけたことがない。
まるで綿花そのものの様な柔らかい肌触りなのに、とても都会的で先進的なのだ。
色の出方も上品だから大人も十分に楽しめる。

これが、老舗テキスタイルメーカーだからこそ実現したネオンスクリプトという訳。


シルエットはシンプルなボックスシルエット。
トレンドに左右されず、定番としてずっと着ることができるSTANDARD FIT（スタンダードフィット）。
そして、MOONLOID（ムーンロイド）別注として特別に胸ポケットを配置してもらった。
少しの違いだが、この胸ポケットがあることで変化が生まれメリハリがつく。
だから1枚で着てもノッペリとせず、表情豊かに着ることができるのだ。

無地TEEの様に合わせやすく、プリントTEEよりもキャッチー。
そして、mocTだからこその極上の着心地。
究極にシンプルなアイテムだからこそ、差をつけるのは難しい。
でも、これはTEEシャツの概念を変える、全くの別物です。